具体例３：会議での意思決定

会議で新しいマーケティングキャンペーンの提案があったとします。クリティカルシンキングでは、まず「このキャンペーンは顧客の真のニーズに応えているか」「予算5百万円で達成可能か」「3ヶ月の期間内に完了できるか」などを多角的に評価します。過去のSNSキャンペーンで失敗した事例や、競合他社の成功例を参考にして、「ターゲット層の20代女性が本当に反応するか」「ROIは投資額の2倍を達成できるか」という観点から提案の妥当性を検証します。さらに、「市場環境の変化によってキャンペーンの効果が薄れる可能性はないか」「類似キャンペーンとの差別化ポイントは明確か」「社内リソースの配分は最適か」といった潜在的なリスク要因も検討します。また、提案されたデータの信頼性を確認し、「サンプルサイズは十分か」「調査方法に偏りはないか」「異なる解釈の可能性はないか」という視点でエビデンスの質を評価することも重要です。

ロジカルシンキングでは、キャンペーン実行に必要なリソース（デザイナー2名、マーケティング担当3名、外部業者との連携、500万円の予算）を分析し、「企画→デザイン→テスト→実施→評価」という5段階のプロセスがどう連携するか、全体の流れを論理的に把握します。「初月でのリーチ10万人」「最終月での成約率5%以上」など、プロジェクトの成功に必要な具体的な指標を明確にし、各フェーズの責任者と期限を定めた達成可能な計画を立てます。さらに、「もし予算が削減された場合の代替案」「主要メンバーが離脱した場合のバックアッププラン」など、起こりうる障害に対する対応策を事前に準備します。また、プロジェクト間の依存関係（例：ウェブサイトの更新が完了していないとSNS広告が開始できない）を明確にし、クリティカルパスを特定することで、遅延リスクを最小化します。

効果的な意思決定のためには、クリティカルシンキングとロジカルシンキングを組み合わせて活用することが重要です。例えば、会議中に意見が対立した場合、各意見の背景にある前提条件や価値観の違いを明確にし（クリティカルシンキング）、その上で全員が合意できる評価基準を設定して選択肢を比較検討します（ロジカルシンキング）。また、最終決定後も「この決定によって生じる可能性のある意図しない結果は何か」「どのような条件変化があれば計画を修正すべきか」といった継続的な検証プロセスを設けることで、変化する状況に柔軟に対応できる意思決定体制を構築できます。