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計算例その4:定期券

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通学に使う定期券の料金を比較しています。A社の3ヶ月定期は12,000円、B社の3ヶ月定期は14,000円です。同じ区間、同じサービスでも会社によって料金が異なることはよくあることです。

節約率の計算

(14,000円-12,000円)÷14,000円=2,000円÷14,000円≒0.143=14.3%

高い方のB社の料金を基準にすると、A社を選ぶことで約14.3%の節約になります。

値上げ率の計算

(14,000円-12,000円)÷12,000円=2,000円÷12,000円≒0.167=16.7%

安い方のA社の料金を基準にすると、B社は約16.7%高いことになります。

定期券のような長期間使用する商品では、このような割合の差が実質的な家計への影響に関わります。A社の定期券を選ぶと3ヶ月で2,000円、年間では8,000円の節約になります。これは小さな差に見えるかもしれませんが、学生や新社会人にとっては大きな金額です。

また、この例でも節約率(14.3%)と値上げ率(16.7%)の間に2.4%ポイントの差があることがわかります。レモンの定理はこのように日常的な交通費にも当てはまります。

学生の場合の長期的影響

大学4年間で考えると、毎年8,000円の差は4年間で32,000円になります。この金額は教科書数冊分や、就職活動の交通費として活用できる額です。定期券の選択は、限られた学生の予算の中で大きな違いを生み出します。

社会人の場合の長期的影響

新入社員の場合、手取り月収が20万円程度だとすると、年間8,000円の節約は手取り月収の約0.33%に相当します。10年間で80,000円の差になり、これは将来への投資や余暇活動に充てられる資金です。

定期券利用者がよく見落としがちな点として、以下のような隠れたコストと便益も考慮する必要があります:

時間コスト

B社の方が所要時間が10分短い場合、年間(往復×240日)で80時間の時間節約になります。時間価値を時給1,000円と仮定すると、金銭的価値は80,000円となり、定期券の差額8,000円を大きく上回ります。

混雑度の違い

A社の路線が混雑率150%、B社が100%の場合、快適性の差は数値化しにくいものの、学習効率や仕事前の精神状態に影響します。この点は金銭換算できませんが、重要な判断基準になります。

通学や通勤の定期券選びでは、以下の点も考慮するとより効果的です:

  • 乗り換えの便利さと所要時間
  • 遅延の頻度と払い戻しポリシー
  • ポイントプログラムなどの付帯サービス
  • 学割や企業提携割引の適用条件の違い
  • 定期区間外への延長乗車時の料金計算方法
  • 通学・通勤ルート上の買い物や立ち寄りの便利さ

レモンの定理を理解することで、長期的な視点での選択がしやすくなります。特に定期的に発生する支出については、このような比較計算が家計管理に大きく役立ちます。

さらに、定期券の選択は単なる交通費の問題ではなく、生活の質全体に関わる重要な決断です。A社とB社のどちらを選ぶかによって、毎日の通学・通勤体験が変わり、それが学業や仕事のパフォーマンスにも影響します。長期的な視点でこの選択を考えることで、より賢い消費者になることができるでしょう。

定期券の購入期間による差

多くの交通会社では、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月などの異なる期間の定期券を提供しています。長期の定期券ほど割引率が高くなる傾向があります。例えば、以下のような価格設定があるとします:

A社の定期券価格

1ヶ月:4,500円

3ヶ月:12,000円(月あたり4,000円、1ヶ月券に比べて11.1%お得)

6ヶ月:22,500円(月あたり3,750円、1ヶ月券に比べて16.7%お得)

B社の定期券価格

1ヶ月:5,000円

3ヶ月:14,000円(月あたり4,667円、1ヶ月券に比べて6.7%お得)

6ヶ月:27,000円(月あたり4,500円、1ヶ月券に比べて10.0%お得)

このデータから、A社の方が長期定期券の割引率が高いことがわかります。特に6ヶ月定期を購入する場合、A社とB社の差は次のようになります:

(27,000円-22,500円)÷27,000円≒0.167=16.7%(節約率)

(27,000円-22,500円)÷22,500円=0.2=20.0%(値上げ率)

6ヶ月定期では差額が4,500円となり、節約率と値上げ率の差も3.3%ポイントに拡大します。このように、購入期間が長くなるほど絶対的な金額差も大きくなり、レモンの定理による割合の差も顕著になります。

定期券と回数券・都度払いの比較

定期券は毎日利用する人には経済的ですが、週に数日しか利用しない場合は回数券や都度払いの方が有利なケースもあります。例えば以下のようなケースを考えましょう:

週5日通学・通勤のケース

A社1ヶ月定期:4,500円

A社片道運賃:250円

1ヶ月の利用日数:20日

都度払いの場合:250円×2(往復)×20日=10,000円

定期券の節約額:10,000円-4,500円=5,500円(節約率55%)

週3日通学・通勤のケース

A社1ヶ月定期:4,500円

A社片道運賃:250円

1ヶ月の利用日数:12日

都度払いの場合:250円×2(往復)×12日=6,000円

定期券の節約額:6,000円-4,500円=1,500円(節約率25%)

このように、利用頻度によって最適な支払い方法は変わります。特に近年はテレワークやオンライン授業の増加により、週に数日しか通勤・通学しないケースも増えています。この場合、単純に安い定期券を選ぶのではなく、定期券自体が必要かどうかを再検討する必要があります。

複数の交通機関を使う場合の考慮点

都市部では複数の交通機関を乗り継いで通勤・通学するケースも多く、この場合は連絡定期券(乗り継ぎ定期券)と個別定期券の比較も重要です。例えば:

連絡定期券のケース

A社電車+C社バスの連絡3ヶ月定期:18,000円

個別購入のケース

A社電車3ヶ月定期:12,000円

C社バス3ヶ月定期:7,500円

合計:19,500円

差額計算

節約額:19,500円-18,000円=1,500円

節約率:1,500円÷19,500円≒0.077=7.7%

連絡定期券は一見便利ですが、実際の利用パターンによっては必ずしも経済的とは限りません。例えば、バス区間を毎日使わない場合や、徒歩で代替できる短い距離の場合は、電車の定期だけを購入し、バスは必要な時だけ利用する方が経済的かもしれません。

定期券の選択は、単なる料金比較だけでなく、自分のライフスタイルや価値観を反映した総合的な判断が求められます。レモンの定理を理解し、節約率と値上げ率の違いを踏まえた上で、時間コスト、快適性、利便性なども含めた多角的な視点から最適な選択をすることが重要です。そして、状況の変化に応じて定期的に選択を見直すことも、賢い消費者の姿勢と言えるでしょう。

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