第4章:これからの社会でどんな仕事が増える?減る?未来の働き方ガイド
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これからどんな仕事が必要とされ、どんな準備をすればいいのか。そのヒントとなるのが、データに基づいた予測です。今回は、経済産業省が出したデータを使って、2030年、そして2050年に向けて、どんな業界で、どんな仕事が増えたり減ったりするのかを見ていきましょう。
このデータは、ただの数字ではありません。あなたのキャリアや、会社の未来を考える上で、とても大切な道しるべになります。どんなスキルが役立ち、どの分野が伸びていくのかを知ることは、明るい未来を切り開くための第一歩になるはずです。
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未来を引っ張る仕事:もっと必要になる職種
エンジニア
2020年から2050年にかけて、約2倍も必要になると予想されています。
AI開発やデータ分析、インターネットの安全を守る仕事など、ITの技術はどんどん進んでいます。世の中のあらゆるものがデジタル化する中で、システムを作ったり、管理したり、新しくしたりするエンジニアの存在は欠かせません。新しい技術を取り入れたり、今の仕組みをもっと良くしたりと、活躍の場は広がるばかりです。
研究開発の仕事
エンジニアと同じように、2050年までに約2倍必要になると考えられています。
新しい商品やサービス、すごい技術を生み出す研究開発は、会社の成長にとってとても大切です。特に、環境に優しい技術やバイオテクノロジー、新しい材料の開発など、社会の課題を解決するような分野での新しい発見が強く期待されています。専門的な知識と、新しいアイデアを生み出す力を持つ人が求められています。
変化が起きる仕事:やり方を見直す必要がある職種
事務職
2020年から2050年にかけて、必要とされる人数が約半分になると予想されています。
データを入力したり、書類を作ったり、お金の計算をしたりといった決まった作業は、AIやRPA(ロボットに作業をさせる仕組み)によって効率化が進んでいます。これにより、人間はもっと頭を使う創造的な仕事に集中できるようになりますが、同時に、多くの事務職の人が違う仕事に挑戦する必要が出てくるかもしれません。
販売職
事務職と同じように、2050年には2020年の半分以下の人数になると考えられています。
インターネットでの買い物が増えたり、お店でレジを使わない支払いが増えたりして、お客様と直接顔を合わせる販売の仕方が大きく変わってきています。お客様がもっと満足できるようにしたり、データに基づいて商品を売る戦略を考えたりと、より高度なスキルを持つ販売職だけが生き残る時代になるでしょう。
これらのデータがはっきりと示しているのは、AIやロボットが進化して自動化が進むと、決まった作業が中心の仕事から、もっと高度な判断力や、新しいアイデアを生み出す力、人とのコミュニケーション能力が求められる仕事へと、社会が必要とする仕事の種類が変わっていくということです。これは、ただ一部の仕事がなくなるという話ではありません。仕事の内容そのものが進化して、人間がもっと価値の高い仕事に集中できるチャンスが生まれている、と考えることができます。
この変化は決して「仕事がなくなる恐れ」を意味するものではありません。むしろ、これは私たち一人ひとりの「キャリアを新しくするチャンス」だと前向きに捉えるべきです。例えば、これまで事務の仕事をしていた人が、データ分析のスキルを身につけて、会社の戦略を考える手助けをする役割に変わったり、販売の経験がある人がデジタルマーケティングの知識を学んで、インターネット上でお客様との関係を深める専門家になったりする例はたくさんあります。大切なのは、今のままでいるのではなく、未来を見据えて自分をどんどんアップデートしていく「学び続ける気持ち」です。
会社にとっても、この変化は人材戦略を根本から見直す絶好のチャンスです。社員が新しいスキルを学ぶ(リスキリング)ことや、今のスキルをさらに伸ばす(アップスキリング)ことを積極的にサポートし、一人ひとりの成長が会社全体の競争力を高める仕組みを作ることがとても重要です。例えば、社内での研修をもっと充実させたり、外部の専門機関と協力したり、キャリア相談の制度を取り入れたりすることが考えられます。会社と社員が一緒に未来に向かって学び、成長し続ける「共に創る関係」を築くことで、誰もが変化の波を乗りこなし、未来の労働市場で活躍できる道が開けるはずです。変化を恐れずに、この大きな時代の変わり目を前向きに捉えて、新しい挑戦を始めていきましょう。
クリティカルポイント
- これからの社会では、AIなどによる自動化が進むことで、仕事の種類によって必要とされる人数が大きく変わります。特に、新しい技術を作るエンジニアや研究開発の仕事はどんどん増える一方で、決まった作業が中心の事務職や販売職は減る傾向にあります。
- この変化は、個人にとっては「新しいキャリアを始めるチャンス」であり、会社にとっては「人材をどう育てるか戦略を見直すチャンス」です。新しいスキルを学んだり、今のスキルをさらに伸ばしたりすることに積極的に投資することが、個人も会社も成長するために欠かせません。
- 変化に対応して成長し続けるためには、社会全体で「学び続ける文化」を作り、新しいスキルを学ぶためのサポートを強化することが最も大切な課題です。
反証・課題
- 新しいスキルを学んだり、違う仕事に挑戦したりするには、個人の時間やお金の負担が大きく、誰もが簡単にできるわけではありません。特に、子育て中の人や経済的に余裕がない人にとっては、新しく学び始めることが難しい場合があります。
- 会社側も、今いる社員に新しいスキルを学ばせる費用と、すぐに使える人を外から雇う費用とのバランスに悩むでしょう。また、研修プログラムが形だけになってしまって、実際の仕事に役立たないケースも問題として挙げられます。
- 技術の進化はとても速いため、せっかく学んだスキルがすぐに古くなってしまう心配もあります。常に新しい情報を追いかけ、学び続けることの大変さや、学ぶ気持ちを維持することも大きな課題となる可能性があります。
- 社会が必要とする仕事が二極化していく中で、スキルの低い人の雇用問題や、社会的な格差が広がらないように、社会全体で支え合う仕組みや教育のルール作りも同時に考えるべき大切な課題です。

