具体例5:問題解決

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職場で問題が発生した場合、まずクリティカルシンキングを使って、問題の本質を見極めます。例えば、製品の不具合が発生した場合、「なぜ不具合が起きたのか」「いつから発生しているのか」「誰がどのように影響を受けているのか」などの5W1Hを使って情報を整理します。また、「これは本当に解決すべき問題なのか」「表面上の問題の背後に隠れた本質的な問題はないか」と批判的に検証することで、真の課題を特定します。さらに、感情や先入観に左右されず、客観的なデータや事実に基づいて問題を定義することが重要です。例えば、「営業成績が悪い」という漠然とした問題を「過去3か月間、新規顧客獲得率が前年比30%減少している」という具体的で測定可能な形に再定義します。

問題の定義が明確になったら、様々な視点から原因を探ります。例えば、「製品不具合の原因は製造工程にあるのか、素材の品質なのか、または使用方法の説明不足なのか」と複数の可能性を検討します。この段階では、「なぜ?」を繰り返し問いかける「5つのなぜ」技法も効果的です。表面的な原因(「機械が止まった」)から掘り下げて、根本原因(「定期メンテナンスの手順が守られていなかった」)を特定できます。このプロセスでは、チーム内での自由な意見交換を促し、多様な視点を取り入れることで盲点を減らします。

ロジカルシンキングでは、特定した問題に対して「原因→結果」のフレームワークを用いて解決策を導き出します。例えば、「コミュニケーション不足が原因で納期遅延が発生している」と特定した場合、「週次ミーティングの導入」「プロジェクト管理ツールの活用」「責任者の明確化」など具体的な対策を列挙し、それぞれの実行難易度と期待効果を評価します。そして、「まず責任者を決定し、次に管理ツールを導入、その後週次ミーティングを開始する」といった論理的な手順で実行計画を立てます。計画実行後は、KPIを設定して効果測定を行い、PDCAサイクルを回すことで継続的な改善を図ります。

解決策を実行する際には、ロジカルシンキングを活用して、リソース配分の最適化も考慮します。例えば、「限られた予算と人員で最大の効果を得るには、どの解決策を優先すべきか」という観点から、費用対効果の高い施策から実施します。また、解決策の実行に伴うリスクも論理的に分析し、「もし~なら、どうするか」という形でコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)も準備しておきます。

問題解決のプロセス全体を通して、クリティカルシンキングとロジカルシンキングを交互に活用することが重要です。解決策を実行した後も、「本当に期待通りの効果が出ているか」「新たな問題は発生していないか」とクリティカルな視点で状況を評価し、必要に応じて計画を修正します。例えば、品質管理部門では、改善策導入後の不具合率を定期的に測定し、数値に基づいて効果を検証します。このような継続的な検証と改善のサイクルを回すことで、組織の問題解決能力は着実に向上していきます。実践を通じて、チームメンバー全員がこれらの思考法を日常的に活用できるようになれば、問題の早期発見と効果的な解決が組織文化として定着します。