発達段階別の学びと勉強のバランスについて考えてみましょう
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私たちはこの世に生を受けてから、人生の終わりを迎えるまで、本当にたくさんのことを経験し、身につけていきますよね。その中で、「学び」(自分の内側から湧き出る興味や関心に導かれて、自由に探求していくこと)と、「勉強」(学校での成績や仕事の目標達成など、ある目的のために計画的に知識やスキルを習得していくこと)という二つの要素が、私たちの成長に深く関わっています。この「学び」と「勉強」の最適なバランスは、実は年齢やその時々の状況によって、くるくると表情を変えるものなのです。まるで季節の移ろいのように、その時々にふさわしい形がある、と私は感じています。
例えば、人生の最初のステージである「幼児期」(0歳から6歳くらいまで)を考えてみましょう。この時期の子どもたちにとって、世界そのものが大きな遊び場であり、好奇心の対象ですよね。彼らは砂遊び一つとっても、水の流れ方や砂の質感、友達との関わり方など、数えきれないほどの「学び」を体験しています。この時期は、まさに遊びを通して世界を全身で吸収していくような感覚です。そのため、「学び」の割合が全体の85%と、圧倒的に高いウェイトを占めていると考えられます。彼らの心の中には、「もっと知りたい!」「なんでこうなるの?」という純粋な問いが溢れていて、その赴くままに自由に体験し、試行錯誤することが何よりも大切なのです。「勉強」はまだ15%程度で、例えば「ありがとう」「ごめんなさい」といった基本的な社会のルールや、自分で手を洗う、ご飯を食べる、といった生活習慣を身につけるごく基礎的な部分に限られています。この時期に「勉強」を詰め込みすぎると、せっかくの好奇心の芽を摘んでしまうことになりかねませんから、そっと見守ってあげることが重要でしょう。
そして、小学校に入学し、いよいよ本格的な集団生活が始まる「児童期」(7歳から12歳くらい)になると、少しずつ「勉強」の割合が増えてくるのが自然な流れではないでしょうか。学校では国語や算数、理科、社会といった教科を通じて、基礎的な知識やスキルを体系的に学ぶことの重要性が増してきます。これは、社会で生きていく上で共通の土台を築く大切な時間です。この時期のバランスは、「学び」が60%、「勉強」が40%といったイメージでしょうか。もちろん、学校の勉強だけでなく、放課後の遊びの中で友達との人間関係を学んだり、図鑑を読んで宇宙の不思議に心を躍らせたり、といった「学び」も引き続き、彼らの成長には不可欠です。勉強が学びを阻害するのではなく、学びをさらに深め、広げるためのツールとして機能することが理想的ですね。
さらに成長し、「青年期」(13歳から18歳くらい)になると、高校や大学受験、将来どんな道に進むのか、といった具体的な進路を意識する機会が格段に増えてきます。この時期は、明確な目標に向かって計画的に学習する「勉強」の時間が自然と多くなる傾向にあります。全体を見ると、「勉強」が55%と「学び」の45%をほんの少し上回るバランスになるかもしれません。部活動に打ち込みながらも、自分の興味がある分野を深く掘り下げたり、友人との議論を通じて価値観を広げたり、といった「学び」も、大人へと成長する上で非常に大切な要素です。この時期の勉強は、将来の選択肢を広げるための投資とも言えるでしょう。ただ、受験勉強ばかりに追われて、自分の本当の関心事を見失わないように、心のゆとりも大切にしたいものです。
やがて大人になり、「成人期」(19歳から65歳くらいまで)を迎えると、私たちの人生は一気に多様な広がりを見せます。仕事でのキャリア形成やスキルアップ、趣味やボランティア活動、そして家庭を築き、子育てに奮闘するなど、それぞれのステージでさまざまな目的意識が生まれてきます。この時期は、「学び」と「勉強」のどちらか一方に偏るのではなく、両方がバランス良く必要となる、まさに人生の総合格闘技のような期間だと言えるでしょう。そのため、「学び」も「勉強」もそれぞれ50%ずつと、お互いが手を取り合うようにバランスが取れるのが理想的だと考えられています。仕事に必要な専門知識を習得する「勉強」も、自分の内面を豊かにする読書や新しい趣味に挑戦する「学び」も、どちらも人生を充実させる上で欠かせない要素ですね。このバランス感覚こそが、大人の知恵なのかもしれません。
そして、社会的な責任から少し解放され、自分のために使える時間が増える「高齢期」(65歳以上)になると、再び「学び」の重要性が大きくクローズアップされてくるのではないでしょうか。現役時代には忙しくてできなかった新しい趣味を始めたり、長年心に温めてきた興味をじっくりと深掘りしたりと、個人的な充足のための「学び」が、この時期の生活の中心となることが多いようです。このフェーズでは、「学び」が75%と高い比率を占め、「勉強」は25%程度へと落ち着くという見方もできますね。例えば、地域のボランティア活動を通じて新しい役割を見つけたり、生涯学習講座で歴史を学び直したり、孫と一緒にデジタルツールを使いこなす楽しさを見つけたり…。「やらなければならない」という外的なプレッシャーから解き放たれ、純粋に知的好奇心を満たすための時間が、何よりの喜びとなることでしょう。この時期の学びは、人生をより豊かに彩る、いわばご褒美のようなものかもしれません。
このように、私たちの人生の旅路において、年齢とともに「学び」と「勉強」の適切なバランスは、まるで砂時計の砂のように少しずつ、しかし確実に変化していくと考えられます。もちろん、ここで示した割合はあくまで一般論であり、理想的な一例に過ぎません。一人ひとりの個性や育ってきた文化、そして置かれている社会的な状況や環境によって、最適なバランスは千差万別です。大切なのは、固定観念にとらわれず、その時々の自分にとって何が一番心地よく、成長につながるのかを常に問いかけ、柔軟にバランスを調整していく心持ちなのではないでしょうか。

